(仮)blog

雑記、ぼやき、たまに楽しいこと、適当に綴ります。ヴァイオリンネタが多いかもしれないです。

遠い記憶、聞きながしていた言葉

最近ふと、思い出す言葉がある。
「プライオリティ間違えるなよ」
これは、10数年前に婚約破棄した人がよく言っていたこと。
わたしがあまりに、行き当たりばったりで日々を送っていたからだと思っている。


そんな彼は、いつも名刺大のカードの束を持ち歩いていて、
よくなにやら汚い字でいろいろ書きなぐっていた。
それは何と聞くと、日々気づいたことや重要だと思ったことを都度書きとめて、一日の終わりに整理してまとめるのだと言う。
大量に読む本には、丸で囲んだり線を引いたり、何か書き込みをしたりして汚くなっていた。
日々を送る中で、何が重要なのか、いつも意識して探索しているようだった。


ある日彼の家の押し入れの奥に、ぐるぐるに縛られた(!)ギターケースを見つけた。
音楽が好きなことは知っていたけど、楽器をやるというのは聞いたことなくて、うれしくなって何か弾いてと言ってみた。
そしたら「ギターは好きすぎて、手にすると最後、のめりこんでしまい、仕事したくなくなるので封印しているんや」と真顔で答えた、
本気で驚いてしまった。


この人は四六時中、なにかしら勉強していた。
基本は専門のこと、資格のための勉強、語学、趣味だという数学など。
語学は英語と、そしてたぶんパリジェンヌに憧れてだと思うけどフランス語。
(フランスに行ったら思い描いていたパリジェンヌなんてどこにもいなかったと本気でガッカリしていたので)
どちらも長年語学教室に通い、かなりできるようだった。
ドイツ語はちょびっとだけ、とのこと。
わたしもフランス語カッコイイかも~!てなミーハー心で、本棚にあったテキストを取り出してきらきらした目で読んでいたら、
「まずは英語を勉強せんと。英語は使えんとあかんから、それができるようになってからや」と苦笑された。
さらには、「英語のほうが簡単や、英語もわからんのに、フランス語なんかできへんで」。
その通りだと思ったけど、わたしはその後、結局どちらも勉強しなかった。
わたしはその時はじめて「プライオリティ」という単語の意味を知った程度にあほだった。


苦手なことも、努力で克服していた。
運動が苦手だという彼は、テニスとスキーを地道に長年続け、いずれも上級クラスだった。
テニスの試合を一度見てみたけど、本当に運動音痴なのかと思うほど上手でびっくりした。


そんな努力家で濃いオタクだった彼を尊敬していたし、質問したことにぽんぽんと答えを返してくる博学さに頼もしさを感じた。


だけど、誰でも欠点はあるもので、それは、基本的な生活力だった。


キッチンには、おもちゃのような炊飯器にほこりがかぶり、小さな冷蔵庫には冷凍食品のみ、しかもほとんど冷凍ちゃんぽん(いわゆる、"ばっかり食い"癖があった)。
それが彼の唯一する自炊で、基本は外食。


これはいかんと思っていろいろご飯を作ったら、食事は生命維持のためにしているという感じで、時間がもったいなさそうにすこし急ぎ気味に機械的に行う。
なんだか、悲しくなってきた、味付けを変えても、調理法を変えても、この人はきっと気付かないのではないだろうか。
悲しい、というか、むなしくなった。


そもそも、朝4時に起きて資格試験の勉強をし、遅くに仕事から帰ってきてからまた勉強して、土日は資格試験予備校と語学教室とテニス教室。
細切れ時間は趣味のパソコンいじりに精を出していた。
ふたりでゆっくりする時間と言ったら、録画した犬夜叉とコナンを見ること。はたして一緒にいる意味があるのか疑問だった。
たまには息抜きに、と家から歩いて行けた二子玉川のカフェに散歩がてら誘ったら、大阪人らしく(?)「なんやこの茶、あほみたいに高すぎるわー」とご機嫌ななめだった。
学校とか本には大金はたくくせに、と若かったわたしはいらいらしたけれど、それもお金をかけるプライオリティ、というものを考えていたんだろう。


いろいろあったけれど、わたしはそんな彼と一緒に人生を歩いていく選択をしなかった、できないと思った。
今の相方の年収の3倍、有名大学を出て、父親に風貌がすこし似ていた彼を両親はいたく気に入っていて、勝手に別れを選んだことに怒って、別の人とした結婚式にも出席してくれなかった。


別れてからしばらく経った頃、彼の自作のサイトを見てみたら、びっしり書かれた専門のなにかの隅に、「最近自炊を始めた」とあった。
「じゃがいもにはいろいろあるらしい」みたいなことが書かれていた。
たぶんメークインとか男爵とかスーパーで見て、なんだろう?と思ったのかもしれない、でも、あんなにいろんな難しいこと知ってたのに、そんな小学生でも知っているようなことを知らなかったなんて。
なんかほほえましくて、そしてほっとして、それ以降はもういっさいサイトを訪れるのはやめた。


それからさらに時は経って、わりと最近の話、短期で行った派遣先のある、某タワーにて。
そこは、以前何年もお世話になった会社Aがあり、さらに彼と最初に出逢った会社Bが移転していて、そしてわたしが行ったのは彼の転職先の会社Cという、
マンガのようなシチュエーションだった。
会社Aはもちろん、会社Bの社員さんたちと10年以上ぶりに飲みに行って、彼はいま仕事しながら大学院に行っている、と教えてもらった。
彼は中年のわたしよりもひとまわり年上なので、もう全然若くはない。
だけど、どうしてもその勉強がしたくてたまらなかったんだと思う。素敵だと思った。
優秀ではあるが不器用で組織の中で立ち回るのが苦手だった彼は、いろいろ大変でつらい思いをして会社Bを去ったけれど、会社Cでちゃんと専門知識を活かした仕事に就いていた。
プライオリティを間違えなかったんだな。。。ぶれずに突き進んだ結果なんだ、本当によかったと思った。


最近、ものごとの優先順位を考えていかなければ、とようやくちゃんと理解し始めた。
でもこれ、けっこう難しいことだと思う。
わたしのカードはまだまだ整理できずばらばらとしたまま。
どう生きていくのが自分にとって、一番いいんだろう。
わたしにもできることがあると思うんですよ、ってそれっていったい何なんだろう。。。
もしかしたら、かなり思い切った取捨選択を強いられるのかもしれない。


とりあえず、目の前にある些細なことをひとつひとつ、きちんと、がんばらなくては。
なにが一番たいせつのなか、考えるためにも。












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